リピーター依存の売上は成長の罠?Amazon販売における「New-to-Brand(新規顧客)売上」の見落としリスクとは

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AmazonでD2C商品や日用品、食品、美容系の商材を販売していると、一定の期間が経つと「リピート購入者」が売上の中心になってくることが多々あります。これは一見すると、ブランドが順調に成長しているように思える要素ですが、実は大きな落とし穴になる可能性があるのです。

特に、初期のAmazonビジネスで売上が伸びてきたと感じているフェーズの方ほど注意が必要です。「売上は伸びているが、なぜか広告効率が悪化している」「新しいお客様が増えている実感がない」という現象が起きているとすれば、それは“リピーターによる売上依存”が進行しているサインかもしれません。

売上が伸びていても、それは“新規流入”ではない可能性がある

Amazonセラーセントラルの売上ダッシュボードや、広告のCV数・ROASを見る限りでは、月間売上が右肩上がりに推移しているように見えることがあります。しかし、その数字の中身を深掘りしていくと、「新規顧客からの売上」はすでに頭打ちとなっており、実際にはリピーターが増えているだけ、というケースが少なくありません。

たとえば、あるD2CブランドがAmazonで新商品を発売した際、最初の3ヶ月は勢いよく新規流入がありました。しかし6ヶ月目からは売上が鈍化。広告を強化することで売上は再び上昇しましたが、実際には初期に獲得した顧客のリピート購入が主な要因だったのです。

このような状態では、「ブランドが成長している」と錯覚してしまいがちですが、新規ユーザーが増えていなければ、市場シェア拡大にも限界があるため、早期に打ち手を変える必要があります。

New-to-Brand売上(新規顧客による売上)は、成長を測る“唯一の物差し”

特にAmazonでは、検索起点での購買が多いため、「新規顧客をどれだけ効率よく獲得できるか」がブランドの拡大において最も重要な指標になります。ここで重要となるのがNew-to-Brand(新規顧客売上)という概念です。

Amazon Marketing Cloud(AMC)では、ユーザーが過去12ヶ月以内に自社商品を購入していたかどうかをベースに、広告経由の注文が“新規”か“リピート”かを判別できます。このデータにより、以下のような分析が可能となります:

  • 広告キャンペーンごとの新規率の違い(例:動画広告 vs 静止画広告)
  • ブランドキーワード vs 一般キーワードでの新規顧客比率
  • DSP vs スポンサード広告の新規獲得効率

こうした分析をしないまま、見かけの売上やCV数だけで広告を最適化していると、「効率よくリピートを取れているだけ」で終わり、ブランドの本質的な成長に繋がらないリスクが高まります。

LTV(顧客生涯価値)が広告戦略の基盤になる理由

Amazon広告の費用対効果は、初回の購入単価だけで測ってはいけません。特に、リピート率の高い商材や、消耗品ジャンルのブランドでは、LTV(Life Time Value=顧客生涯価値)を軸に戦略を設計する必要があります。

例えば、1人の顧客が平均して$30分購入してくれるブランドと、$90購入してくれるブランドでは、広告に投下できる上限CPCがまったく異なります。後者であれば、たとえ初回で赤字になっても、その後のリピートで十分回収が可能です。

逆に、LTVが低いままでは、いくらACoSやROASを改善しても、限界があります。競合が高LTV設計になっていれば、入札で常に不利になり、オーガニックでの上位表示も取れず、長期的には広告コストに耐えられなくなる構造です。

Amazonでは「一発の利益」ではなく、「何回目の購入で黒字になるか」という考え方が必須なのです。

「ACoSが高い = 悪」ではない。LTV前提で見ると戦略は変わる

多くの企業がAmazon広告のACoS(広告費 ÷ 売上)を30%以下に抑えることを目標にしていますが、LTVの設計がきちんとされていれば、ACoSが60〜70%でも“アリ”です。

たとえば、初回で$20の赤字が出たとしても、3ヶ月以内にその顧客が追加で$80を購入してくれると見込めるのであれば、結果的に広告投資はプラスになります。この「フロント赤字・バック黒字」のモデルは、特に高LTV型商品で極めて有効です。

この考え方はサブスクリプションビジネスでは一般的ですが、実はAmazonのリピート型商品販売でもまったく同じ構造が活用できます。

株式会社Picaro.aiでは、Amazon広告の“中身”を可視化し、事業に効く改善を提供しています

私たち株式会社Picaro.aiは、Amazon Marketing Cloud(AMC)の高度な分析機能を活用して、クライアント様の「売上の質」を可視化する支援を行っています。

具体的には、以下のような支援が可能です:

  • New-to-Brandの売上計測:スポンサード広告やDSP経由の売上が、初回購入かリピートかを判別し、キャンペーン評価を構造的に見直します
  • スポンサードプロダクト広告の最適化:初回は赤字でも、LTVベースで回収可能な入札戦略に切り替え、利益に繋がる顧客だけを獲得します
  • Amazon DSP広告の設計:高LTV顧客を基にLookalike配信を行い、コンバージョン率の高いターゲットを獲得し続けます

売上だけを追いかけるのではなく、「誰から」「何回目の購入で」利益が生まれているのかを見極め、広告投資が“資産”になる構造を作る。それが私たちのご支援の軸です。

Amazon広告を、もっと戦略的に。そして長期的に。

「広告効率はいいはずなのに、利益が出ていない」「新規顧客の伸びが止まっている」「LTVをどう使っていいか分からない」――そんな課題を感じている方へ。

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