なぜアマゾンビジネスで失敗してしまうのか

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アマゾンでベンダーやセラーをサポート、アマゾンコンサルティングをして15年以上、メンバー全員で恐らく5,000社以上のアマゾンビジネスをしているブランドを見てきたかとは思いますが、成功するブランドと失敗するブランドでは明確に差があり、且つその差が大きく開いてきているように感じています。成功要因はブランドごとに異なるので、言語化するのは難しいのですが、失敗するブランドで共通している部分は結構どのブランドでも共通しており、今回はそれらの失敗する要因7つをまとめてみました。

1. アマゾンビジネスは簡単だと思っている

もしみなさんがアマゾンで商品を販売するのは簡単な副業だと考えているのであれば、その時点でそのアマゾンビジネスは失敗しています。直接的な接客ができないECという販売手法であり、且つ多数の競合他社が存在する中で、競争を勝ち抜くのは非常に困難です。同じ商品だけど、価格が安いから売れると思ってしまっていませんか?同じ価格だけど、スペックが良いから売れると思っていませんか?「なぜお客様は多くの似たような商品がある中で、御社の商品をわざわざ選んで購入するのでしょうか?」

この市場で勝つためには、アマゾン全体とお客様の心理や購買行動を正しく把握し、且つ定期的なメンテナンス、名前を付けることもできないコツコツとした作業を毎日行わなければなりません。当社には様々なステージのお客様からの問い合わせがありますが、初めてアマゾンでの物販ビジネスを開始した方々の失敗の多くはこのマインドセットの問題のように感じています。

2. 全てを自分でやろうとしてしまっている

アマゾン物販での成功は、本当に多数の要因によります。中には再現性のあるものもありますが、次やったら成功できないといったような運もあります。そして、もしアマゾンでの物販に必要な運も含めた要素全てを、自分自身で把握、理解、実行できると思っているとしたら、それは大きな間違いです。

もちろんそれら全てをできる方がゼロとは言いませんが、我々が出会ったそのような方々は、一般的な基準よりもかなり深いレベルでアマゾン物販ビジネスにリソースを投資している方です。例えば、商品画像撮影、加工、A+といったクリエイティブはできるけど、商品開発はできない。広告運用はできないという方が普通です。もしくは広告運用はできるけどSEO対策はできないなど。

全てを自分一人で解決、実行しようとはせず、餅は餅屋、苦手分野はプロフェッショナルにお任せすることをおすすめします。

3. 短期的な視点のみで商品開発をしている

アメリカのアマゾンビジネスと、日本のアマゾンビジネスは異なります。当社ではよく、Amazonとアマゾンは違うと言っています。EC市場のほとんどのシェアを持っているアメリカであれば、Amazonだけに特化して市場調査、競合調査をして新商品を開発しても良いかもしれません。一方で、日本に関して言えば、アマゾンの市場シェアはまだまだアメリカほど大きくはなく、アマゾンがEC全てのマーケットではありません。

ですので、アマゾンや楽天、shopifyなどでメーカーサイトを展開しているブランドなどを調査し、市場全体がどういう状況か、今後どのような市場になっていくのか。市場全体での競合他社はどこか、アマゾンでの競合他社はどこか、競合他社はアマゾン外部ではどのようなアクションをしているかといったように、全体を俯瞰し、長期的に考えられる視点と、アマゾンに特化した視点とが必要になります。

4. 許容できるリスクテイクをしていない

どのようなビジネスにもリスクがあります。昨今のようなコロナで中国からモノが送られてこないといった予測ができないリスクというものも存在しますし、ある程度予想/計算できるリスクもあるかと思います。

頻繁に聞くのは、初回発注だから100個だけ輸入してテスト販売したが、すぐに売れてしまって1.5か月間追加在庫がない。その間にオーガニックランキングも大きく下がってしまい、なかなか売れないので、セールで値下げしてGVを上げているという話です。もちろん外部の我々が、「リスクを取って300個仕入れなければダメ」ということを言うのは簡単ですが、要はそのリスクを取らなかったことによって起きる更なる大きなリスクを想像して、その小さなリスクを取れるかどうかによって、大きな成功ができるかどうかが変わってきます。

5. 取るべきアクションを実行していない

「知っているのですが、やれていません」「やろうとは思っていたのですが」。なぜやらなかったのでしょうか。競合他社は全力でやっているのに、なぜ御社はそれをやらずに成功できると思っていたのでしょうか。

例えば外部でのプランディングや、アマゾンPremium A+作成。SNSは運用が難しいのでやっていない、Premium A+はすでに作成できる環境にあるにもかかわらず、作成していない。もちろん作成したからといって売上が上がるかどうかはやってみないと分かりません。だからといって、やらないという選択肢を選択し続ける理由としては不十分です。他にもA/Bテスト。現在は様々なAB testを実行することが可能です。もちろんAB testを実行するには、事前の仮説を創ることや、期間中は価格をいじれない(実際には変更できるが、やるべきではない)など、ディメリットもありますが、それを言い訳にアクションをしていないケースが多数あります。

再度ですが、自分がアクションをしないにも関わらず、お客様が購買行動を変えることは一切ありません。まずは自らがアクションを取ってください。

6. 十分な投資をしていない

ある一定規模のビジネスにおいては、それ相応の投資が必要になります。

アメリカアマゾンで最も人気のあるアマゾン売上拡大支援ツールはHelium10ですが、約250万アカウントの登録があり、月間2万円~6万円のツール利用料が発生します。PACVUEであれば、約9万円/月程度。日本の一般的な感覚としたら高いという印象の方が多いようですが、日本国外のアマゾンセラーからすると、将来大きな成功を収めるためには、現時点では商品開発などに自分の時間とリソースを割く必要があります。それ以外の作業をツールがサポートしてくれるのであれば、ツールにその程度の金額を支払うのは全く問題ないという意見の方が多いです。

同様にスポンサー広告に対しては、最初の6ヶ月程度が赤字になるのはアマゾンビジネスの構造上致し方ない。初期投資だと捉えているという意見が非常に多いです。一方で、最近アマゾンビジネスを開始した方々からは、赤字は嫌なので、毎月XX千円以内で運用できますか。売上の5%でできますかといったご質問をいただくことが多いです。もちろんこれがダメとは言いません。

ただし、どこで成功をさせたいのか? 今の赤字を避けたいのか、1年後に大きな成功を収めたいので今は初期投資をするのか。商品ライフサイクルの中で、今の自分の立ち位置がどこなのか、十分考えた上でビジネスを開始した方が良いかと感じます。

7. トラッキングすべき適切なKPIを理解していない

ECのビジネスというのは、購入者の購買行動のプロセスの多くを数値化しているために、ブランド責任者が見なければいけない数字が多数存在します。

売上だけでも昨日vs一昨日、先週vs先々週、前月vs前々月、vs前年度など、切り口は多数。表示(=impression)関連でも、CTR、impression share、PV/GV、CVR、そして平均売価などなどと、聞きているだけでお腹が一杯になり、且つ現在の課題点に対してはどの項目が最も重要な指標なのかがわからなくなってしまうケースがあります。全てのKPIを自ら可視化し、重要度を特定して、改善アクションを毎日手動で行うのは困難です。全体戦略や商品の販売動向によって、重要なKPIは日々変化します(とは言え、骨子となるKPIは常に一緒ですが)。

適切なアクションを実行し、それらのKPIの変化を常に捉えながら、更にKPIを改善するアクションを実行するというプロセスを日々続けてください。Picaro.ai(https://picaro.ai)を使えば、トラッキングすべきデータをDaily、Weekly、Monthlyで可視化できるので、もしご興味があれば是非利用してみてください。