2020年のパンデミック以降、eコマース業界は急速に成長しています。アメリカでは、2024年の今でもオンラインビジネスは勢いを増しています。その中でも最も人気なのはアマゾンです。アメリカ人の69%がオンラインで買い物をし、そのうち25%が毎月少なくとも1回はアマゾンで買い物をしているからです。
下の表は、各国の1人当たりのeコマース収益を示しています。 (出典:Optinmonster)
オンライン販売はどの国でも成功する可能性がありますが、アマゾンでは国境を越えてグローバルに商品を売買するいわゆる「越境EC」も可能です。アマゾンは16以上のマーケットプレイスを展開しており、世界中の市場にアクセスできます。中でも、米国市場は特に有望ですので、アマゾンで販売を始める場合は、まずは米国市場からスタートし、その後他の国々にも進出することを検討すると良いでしょう。
この記事では、米国アマゾンに出品する際に知っておきたい情報をご紹介します。
1. 米国アマゾンで販売する理由
1.1. 膨大な顧客層
アマゾン米国は世界最大のオンラインマーケットプレイスです。月間訪問者数は300万人を超えています。以下は、米国マーケットプレイスで販売する価値を示す数値です。
- プライム会員が1億4200万人以上
- 商品リストはアマゾン自体の1,200万点を含め、約3億5,000万点
- 出品者の64%は25,000ドル以上の利益を上げている
- 出品者の70%は毎月1,000ドル以上の収益を得ている
1.2. 参入障壁が少ない
米国マーケットプレイスへの参入は比較的容易です。他のマーケットプレイスと異なり、参入障壁が少なくすぐにビジネスを始めることができます。実際、米国セラーの54%は3ヶ月未満でビジネスを開始しています。
1.3. 欧州のマーケットプレイスよりも販売が容易
欧州のマーケットプレイスと比較して、米国のアマゾンで販売することの利点はいくつかあります。
まず、欧州のアマゾンネットワークは規模は大きくなっているものの、新規出品者は乗り越えるべきハードルがあります。例えば、欧州のマーケットプレイスではVAT(付加価値税)の申請が必要です。EUセラーは、サプライチェーンの早い段階からVATを組み込む必要があり、これにより商品のコストが上昇するため競争力のある価格設定が難しくなるのです。
さらに、EUマーケットプレイスでは、英語だけでなく他の言語にも対応する必要があります。一方、アマゾンUSAでは英語が主言語であるため出品は英語のみで対応が可能です。
欧州のマーケットプレイスはスペイン、ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、イギリスの顧客を対象としています。そのため、出品された商品は最大6ヶ国語でアクセス可能でなければなりません。異なる言語でカタログを作成することでより多くの顧客にリーチできるメリットはありますが、そのための翻訳作業には時間とコストがかかります。
以上の理由から、米国のアマゾンで販売することが欧州のマーケットプレイスよりも容易であると言えます。
1.4. フルフィルメント・バイ・アマゾン(FBA)を活用できる
フルフィルメント・バイ・アマゾン(FBA)は、アマゾンが提供する便利なフルフィルメントサービスの一つです。このサービスでは、アマゾンが出品者に代わって商品の保管、梱包、発送を行います。
FBAは他のマーケットプレイスでも利用可能ですが、特にアマゾンUSAで出品をする場合に非常に便利です。また、サードパーティのフルフィルメントサービスを利用する場合に比べて、手続きが迅速で効率的です。FBAを通じて米国のアマゾンで販売すれば、発送、カスタマーサービス、返品処理などの重要なプロセスについては、アマゾンが全て代行してくれるため出品者はビジネスの成長や戦略に集中できるのです。
2. 米国アマゾンで販売可能な国
現在、アマゾンは約19のマーケットプレイスを展開し、世界102カ国以上からの出品者を受け入れています。つまり、誰もがアマゾンでグローバル販売を始めることができます。ただし、最初に自国での住所、有効な電話番号、クレジットカードを提出する必要があります。
多くのセラーから「日本からアマゾンUSAで販売できますか?」という質問を受けますが、もちろん可能です。次のセクションでは、世界中のどこからでもアマゾン米国で販売を始める方法についてご紹介します。
3. 米国アマゾンで出品を開始するには
アメリカのマーケットプレイスで販売を始めることはアメリカ人以外でも可能です。ただし、以下の条件を満たす必要があります:
- 国際的に利用可能なクレジットカード
- アメリカの銀行口座を作れない場合は、AmazonのCurrency Converterが必要となる可能性があります。その場合、米国の銀行口座を作らなくても出品が可能となります。)
- 居住証明書(公共料金の請求書)
- 身分証明書(身分証明書、パスポート、運転免許証、クレジットカードや銀行口座の残高証明書など)
- 税金情報
- 電話番号
次に、登録時に提供した住所にアマゾンから住所確認の郵便物が届きます。この郵便物に記載されているコードをセラーセントラルへ入力することで、アカウントを確認することができます。このプロセスには、地域によっては1~4週間かかる場合がありますが、コードを受け取ってから30日以内に入力してください。期限を過ぎるとコードが失効することがあります。
3.1. セラーセントラルアカウントの作成
上記の条件をすべて満たしたら、セラーアカウントの作成が可能となります。amazon.comにアクセスし必要な情報をすべて入力してください。
基本情報とは別に、W9(米国納税者)またはW-8BEN(非米国納税者)の必要有無を判断するため、セラーはオンラインでステップ・バイ・ステップのインタビューに答える必要があります。アマゾンは申請書の審査に最大72時間を要する場合があります。審査にはさらに詳細な情報を必要とする場合がありますので、すべてのリクエストに迅速に対応するようにしましょう。
商品リサーチに最適なソフトウェアについては後述しますが、手作業で商品リサーチを行う場合は、以下の点に気を付けて商品を選びましょう。
- 需要が高く、競合が少ない商品を選びましょう。月に少なくとも200〜300個売れる商品が理想です。
- 小さくて軽い商品を選ぶことで、送料を節約できます。また、壊れやすかったり、輸送中に破損しやすい商品は避けましょう。
3.2. リスティングの作成
以下は、FBA販売時における商品のリスティングを作成する際に注意すべき点です:
- 魅力的な商品画像を使用する:商品画像は鮮明で、魅力的で、詳細なものを選びましょう。顧客は商品画像を見て購買意欲を高めるため、品質の高い画像を使用することが重要です。
- 明確なタイトルと説明を使用する:タイトルと説明文は顧客を引き付けるための重要な要素です。タイトルには関連キーワードを含め、説明文は詳細に書き、必要に応じて箇条書きにしましょう。
- リスティングにレビューを追加する:顧客は他の人による購入履歴や、価値の確認を求めているため、レビューを使って新規顧客を説得することが大切です。良いレビューがあると、商品への信頼性が高まり、購入意欲が増します。
3.3. 信頼できる貨物運送業者または通関業者を選ぶ
特にオンライン業者にとって、国際配送には多くのプロセスが伴います。アマゾンで越境販売をスムーズに行うには、貨物運送会社や通関業者のサービスを利用することが重要です。通関業者は、通関手続き、貨物輸送、在庫保管などの多くの書類作成や文書作成を代行してくれます。一方、貨物の運送業者は、アマゾンの倉庫に安全に商品が届くように手配してくれます。
以下は、通関業者が提供するサービスの一部です:
- サンプルの検査:サンプルを検査し、サプライヤーに依頼した通りの製品かどうかを確認します。
- 高品質の保証:第三者品質保証機関が商品を評価し、等級付けをおこないます。
- フルフィルメントの準備:FNSKUやその他の必要なラベリングを含むフルフィルメントの準備を行います。
- 第三者のフルフィルメント準備センターを利用して、サプライヤーが提供できない組み立て作業を行うこともできます。
4. 米国アマゾンで販売するにはいくらかかるのか?
ここでは、販売手数料の内訳をご紹介します。
4.1. 販売プラン料金
アマゾンで販売するには小口出品プランと大口出品プランの2つの販売プランから選んでセラーアカウントを作成する必要があります。
小口出品プラン: 販売毎に0.99ドルがかかり、月に40品目以下を販売するセラー向けです。
大口出品プラン: 月額約39.99ドルが必要で、月に40品目以上を販売するセラー向けです。
4.2. 販売手数料
商品の販売価格の一定割合を販売手数料としてAmazonに支払います。商品のカテゴリーによってこの手数料が異なります。
4.3. フルフィルメント費用
FBA(フルフィルメント・バイ・アマゾン)を利用する場合、集荷、梱包、オーダーフルフィルメントなどのサービスに対して費用が発生します。費用は商品のサイズや重量に応じて計算され、商品ごとに支払う必要があります。
4.4. 在庫保管料
アマゾンの倉庫で商品を保管するための費用です。月ごとに発生し、在庫の種類やサイズによって異なります。また、在庫が長期間保管される場合は追加の長期在庫保管料が発生します。他にも発生する可能性のある手数料はありますが、この記事では割愛します。
5. 米国アマゾンで上手に販売するコツ
アマゾンでの販売はますます人気が高まり、毎日多くのセラーが参入しています。現在、約50万人の個人セラーが販売しており競争も激しくなってきています。このような激しい競争の中で成功するためには、戦略が必要です。ここでは、米国Amazonでの販売を成功させるためのヒントをいくつかご紹介します。
5.1. 在庫を管理する
成功するためには需要が高く、競合が少ない商品を選ぶことが大切です。しかし、その次のステップとして在庫が切れないようにすることです。在庫がなくなると、顧客は競合他社から商品を買う可能性が高くなります。そのため、在庫レベルを定期的にチェックし、商品が入手可能であることを確認することが重要です。
5.2. 適切なフルフィルメントオプションを選択する
Amazonでは、FBAとFBMの2つのフルフィルメントオプションが提供されています。それぞれに異なるメリットがあるので、自分に合ったものを選ぶことが大切です。
*FBA (Fulfillment by Amazon):Amazonが発送を代行する。
販売者はAmazonの倉庫に商品を納品しておいて、購入者への発送はAmazonが行う。
*FBM (Fulfillment by Merchant):販売者が購入者へ直接発送する。
Amazon輸出で売り上げを出すのであればFBAが必須です。
FBAの場合、まずアメリカのAmazon倉庫に商品を発送して、その倉庫からお客様の注文が入る度にAmazonが発送を行います。販売先の国ですが、アメリカに加えて、カナダとメキシコを登録しておくことをお勧めします。アメリカAmazonの場合、アメリカのFBA倉庫からカナダ、メキシコへの発送も可能なので、リーチを広げる上でこの二つの国もFBA登録しておきます。
5.3. プロモーション&広告の実施
Amazonでプロモーションキャンペーンを実施することで、ブランドの認知度を高め、コンバージョンと売上を増加させることができます。Amazonはさまざまなプロモーションツールと広告オプションを提供しています。これらのツールには、カスタマイズ可能な機能と予算に応じた柔軟なフォーマットがあります。
5.4. ソーシャルメディアを使ってAmazonへトラフィックを呼び込もう
ソーシャルメディアは、販売者として多くのメリットがあります。より多くの人々にリーチし、顧客とのつながりを築き、商品を紹介するための素晴らしいツールです。ソーシャルメディアを活用することで、ブランドの認知度を高めることができます。大きな予算や特別なスキルは必要ありません。ほとんどのプラットフォームは無料で簡単に利用できます。アカウントを作成し、製品やサービスの紹介、会話への参加、製品に関するコンテンツの作成、Amazonストアへのリンクを含める等をすることで、潜在顧客を誘導することができます。
6. 結論
eコマース業界は急速に成長しています。越境ECに大きなポテンシャルがあり、特に米国アマゾンでの越境EC販売には多くの魅力があります。もちろん海外からの出品には課題もありますが、それらを克服すれば成功することはできます。越境アマゾンをさらに詳しく知りたいという方はぜひPicaroにお問い合わせください!