Amazonが中国で成功できない理由は感覚的には多数あると思いますが、それを記載してもあまり発展的な議論というか、次のアイデアに繋がりにくいので、逆に中国で成功しているECが成功した要因を見た方が腹落ちをするかと思います。
中国で成功しているECというと、まず名前が上がるのはAlibabaとJDと、一応僕が日本の代表をしていたNetEase Kaolaの名前も上げさせてください。
まず、なぜAlibabaが成功したかというと、なぜ中国でキャッシュレスが進んだのかを知った方が早いですが、すっごく簡単に言うと、もともとAlibabaもECだけでは上手くいっていなかったものの、中国では偽札やぼったくりが多すぎで現金に対する信用が全くなかった。そこでAlipayというデジタル決済を開始したことで、ユーザーからお金に対しての信頼を得た。また商品も偽物が売られないようチェックプロセスを強化し、また商品レビューなども悪事ができないように徹底管理したというのが成功の一番の要因かと思っています。
また、JDについては物流を自社で強化し、中国全土に全て自社の配送網を構築したことや、最近であれば、食事を注文すると、近くのスーパーで調理まで完了させて、30分以内に指定の場所まで届けるというラストワンマイルの強化、実現もしています。
そして上記に共通するというか、アマゾンがどうしてもできなかった点は、決済も、中国全土の配送網も、政府の国策的なサポートが必要だったはずと言う点です。こればかりはドメスティックのAlibabaとJDに対して、アメリカのAmazonは100%無理です。例えばAmazonがAlipayを作っていたら?中国としては中国人13億人のお金の情報をすべてアメリカに握られるのではないかと考えますよね。同時に中国全土への配送インフラをアマゾンが作るとなると、中国政府は絶対に許可できないですよね。
また、現在中国で躍進している保税区モデル(関税が安いので購入代金が安い)も、中国ECは許可されていますが、中国以外は許可されていないという認識です(←間違えていたらごめんなさい)
更に、中国政府としてもこれらの施策は是非中国で推進したいという想いもあるので、AlibabaとJDには進んで投資をし、民間企業の施策を国家プロジェクトとしてサポートできる。この辺りは社会主義国的な部分が多いにあります
と言う感じで、失敗した理由というよりも、ざっくりでも良いおので、他の成功した理由を知ると、もともとアマゾンは中国では成功できないようになっていたのかなという印象ですね。