アマゾンセラーや広告主にとっての最大の目標は、自社ブランドの認知度を高め、自社の売上を伸ばすことだと思います。
しかし、消費者行動の大きな変化とサードパーティクッキーの廃止により、世界中の広告主は次のような情報を得るために試行錯誤しています。
- 最もエンゲージメントの高いオーディエンス層は？
- どの地域の売上が大きいのか？
- 最も多くのコンバージョンをもたらすメディアミックスは？
Amazon Marketing Cloud（AMC）は、アマゾンの広告主に詳細な集計データソリューションを提供することで、この課題を解決します。
この記事では、Amazon Marketing Cloudとは何か、そしてデータに基づいた意思決定をするうえでどのように活用できるかを解説していきます。
1. Amazon Marketing Cloudとは？
現代のECビジネスにおいては、データはすべての基盤となっています。
過去数年間、広告主はウェブクッキーを使用してクロスチャネルキャンペーンの成功を測定してきました。
しかし、ブラウザがサードパーティクッキーをブロックし始めたことで、広告主が複数のチャネルでコンバージョンを測定し、データに基づいた意思決定を行うことが難しくなりました。
この課題に対処するために、Amazonは2021年にAmazon Marketing Cloud（AMC）を立ち上げました。AMCは、安全でプライバシーに配慮したクラウドベースのソリューションであり、広告主が複数のチャネルで分析を簡単に行い、Amazon内外での顧客の購買行動を理解することができます。
AMCレポートは、インプレッション、クリック、コンバージョンなどのAmazon広告キャンペーンデータと、広告主自身のデータセットを組み合わせ、キャンペーンパフォーマンスを包括的に把握することができます。
2. Amazon Marketing Cloudはどのように機能するのか？
Amazon Marketing Cloud（AMC）は、エンドユーザーのプライバシーを保護するために設計されており、ユーザーレベルのデータは表示されません。その代わり、100人の行動をグループ化し、集計データを広告主に提供します。これにより、顧客のプライバシーを守りつつ、顧客の購買行動を理解することができます。
AMCを使用することで、ブランドはオーディエンスの行動に関するより深いインサイトを得ることができ、フルファネルマーケティング戦略の効果を測定することができます。
Amazon Marketing Cloudを活用する方法
AMCには膨大なデータが蓄積されているため、うまく活用しないと情報が煩雑になりがちです。そのため、まずビジネス目標を設定するか、もしくは解決すべき課題を特定し、それに基づいてAMCのインサイトを使って解決策を導き出すことをお勧めします。
例えば、Amazonで新作夏服の発売を検討しているファッション小売業者の場合、AMCを活用すれば、過去の顧客の詳細な人口統計データ、最も検索されたキーワード、購入行動などにアクセスすることができます。そして、この情報を基にデータ駆動型のプロダクトローンチ戦略を立てることで、ターゲット顧客に効果的にアプローチし、最大限の売上を達成できるようになります。
以下は、AMCから得られるインサイトの一部です：
- オーディエンス分析: 顧客の行動、嗜好、関心に基づいて、オーディエンスを発見し、セグメント化します。
- カスタマージャーニー分析: 顧客が認知から検討、そしてコンバージョンに至るまでの一連のプロセスを可視化します。この情報を活用することで、広告キャンペーンの戦略をデータに基づいて最適化し、売上を最大化することが可能です。
- メディアミックス分析: 様々な広告チャネル（DSP + スポンサー広告）やその組み合わせの増分価値と効果を理解します。
- 購買行動分析: 顧客が御社の商品を購入するきっかけを特定します。
- Amazon DSP以外のフルファネル広告分析: 認知からコンバージョンまで、複数のチャネルにわたる広告活動の影響を測定します。
注意: 最初は過去28日間の広告データを確認できます。その後、データはAWSに最大1年間保存され、いつでもデータを分析することが可能です。さらに、AMCは最近、スポンサーブランド（Sponsored Brands）との統合が進み、以下のような複数のメリットを享受できるようになりました。
- オーディエンスリーチ分析: 異なるスポンサーブランドキャンペーンのリーチを測定します。
- 広告によるコンバージョン: スポンサーブランド広告からのブランド全体の購入や売上を分析します。
- キーワード分析: スポンサーブランド広告で高パフォーマンスを発揮するキーワードを特定します。
- コンバージョンまでの経路: カスタマージャーニーにおけるスポンサーブランド広告のパフォーマンスを理解します。
3. Amazon Marketing Cloudを利用するための最低要件
AMCは誰でも利用できるわけではありません。広告主やブランドは、Amazon DSPアカウントを持っている必要があります。
以下は、AMCを利用するための要件です：
- Amazon DSPマスターサービス契約が締結されていること
- 過去28日間に、DSP上でキャンペーンを計画または実施していること
- AMCデータベースでクエリを実行するために、SQLデータベース言語に精通した担当者がいること
- AWSアカウントを持っていること
- AMCは、アメリカ、カナダ、メキシコ、ブラジル、ドイツ、スペイン、フランス、イタリア、オランダ、スウェーデン、イギリス、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、オーストラリア、インド、日本、シンガポールの17のグローバルマーケットプレイスで利用可能です。
4. 広告主がAmazon Marketing Cloudを活用する方法
AMCの仕組みを理解したところで、ここからはAMCを活用できる具体的な方法について見ていきましょう。
より広いオーディエンスにリーチする
AMCを使って、マーケティングファネルの異なるステージ（認知、検討、コンバージョン）で、どれだけ多くの消費者があなたのブランド広告に触れたかを評価しましょう。
これにより、広告が異なるオーディエンスセグメントにどのような影響を与えているかを理解し、リーチを最大化するために戦略を見直すことができます。
また、AMCを活用して、購入履歴、閲覧履歴、商品への親和性、ロイヤリティステータスなど、さまざまな基準に基づいたカスタマイズした対象顧客のセグメントを作成し、ターゲティングをより効果的にすることが可能です。
新規顧客のインサイトを得る
AMCを使うことで、スポンサープロダクトやDSPキャンペーンにおいての新規顧客のインサイトを明確に把握できます。
たとえば、スポンサープロダクトキャンペーンのROASが低いとします。しかし、AMCで分析すると、このキャンペーンの売上の70%が新規顧客によるものであることがわかりました。さらに、新規顧客が平均して5回のリピート購入をしていることがわかれば、このキャンペーンの評価が一気に変わるでしょう。
ゲートウェイASINの分析
AMCを使うと、顧客がブランドから初めて購入する「ゲートウェイ商品」となるASINを特定することができます。
このインサイトを活用して、広告予算をこれらのASINに割り当て、新規顧客の売上を最大化し、市場シェアを獲得しましょう。新商品の発売と組み合わせて、アップセル経由での売上増加も可能です。
トップのAmazon DMA（指定市場地域）を特定する
AMCを活用すれば、新規顧客からのリピート購入が最も多いDesignated Market Areas（DMA/指定市場地域）を特定することができます。
これらの地域で、ターゲティングしたAmazon DSPキャンペーンを展開し、リーチを拡大して新規顧客をさらに獲得しましょう。これにより、ROASが向上し、その地域での顧客獲得コストを削減することができます。
コンバージョン率の分析
AMCは、カスタムアトリビューションモデルを使用して、さまざまな広告キャンペーンがコンバージョン率に与える影響を分析する、より透明性の高い方法を提供します。
たとえば、プロダクトターゲティング広告とスポンサーディスプレイ広告を組み合わせて実施すると、どちらか一方のキャンペーンだけを使うよりもかなり高いコンバージョン率が得られることが分かったとします。この情報を活用して、他のキャンペーンに無駄な広告費をかけることなく、売上を増加させるための総合的な広告戦略を立てることができます。
AMCとAmazon DSPレポートの違い
これまでAMCのさまざまなケースを見てきましたが、主要なツールであるAMCとAmazon DSPのレポート機能を比較してみましょう。
まとめ
AMCは、スポンサー広告やAmazon DSPなど、複数のプラットフォームやチャネルを組み合わせた広告戦略を持つブランドにとって、非常に魅力的なアップデートです。
このプラットフォームを使えば、在庫管理、リスティングの最適化、収益性の高い広告運用、そして複数のチャネルで新規顧客にリーチすることが可能です。
さらに、PPCの専門家が揃っているPicaroであれば、広告目標の達成とビジネス成長のサポートが可能です。
