「Amazonアグリゲーター(アマゾンセラー買収ビジネス)」業界の魅力とは?

2021年8月29日

アマゾンセラー買収ビジネスが日本でもいよいよ本格化してきてます。

日本ではBerlin Brands Group、セラシオ、いつも。中国ではBerlin Brands Groupとセラシオはもちろん、PerchやSeller Xなども支社を作り、数千人規模を動員したセミナーを開催し、すでに多くのセラーからの問い合わせが来ているとのことです。

7月にラスベガスで開催されたAmazonセラーに人気の第6回Prosper Showに、多数のアグリゲーターが参加しており、CNBCがインタビューをした内容を日本語に書き起こさせていただきました。

 

ナレーター:

ラスベガスで開催されたこのパーティのお客様は、Amazon市場で展開しているサードパーティ業者の人々です。さらに、彼らを勧誘しようと、アグリゲーターと呼ばれる、現在スタートアップ業界で最もホットな分野の企業も集まってきていました。ここ2、3年の間に60社以上のアグリゲーターが生まれ、大規模な資金調達で数十億ドルを集め、中小企業のAmazonセラーを買収しています。通常、アグリゲーターは、ブランドを立ち上げた起業家から、時には数百万ドルで買収します。そして、大規模なソフトウェアやマーケティングソリューションを使って、そのブランドの売上を伸ばそうとします。

7月にラスベガスで開催されたAmazonセラーに人気の第6回Prosper Showでは、アグリゲーターが新たな買収先を探しに訪れていました。

 

ケーシー*(*ケーシー・ガウス:セラシオ社のSEO部長)  :

取引を持ち込むことができれば、コミッションの話だけでも盛り上がるため、テスラをプレゼントする人もいます。正直なところ、町中のうわさになっているようなものです。

 

メリッサ*(*メリッサ・バーディック:Pacvue社の共同創業者、2005~2015年までAmazonにて消費財および広告を担当)

もし、私が今日大学を卒業して、Amazonかアグリゲーターのどちらかに就職すべきか選択できるとしたら、アグリゲーターを選ぶ可能性が高いと思います。なぜなら、アグリゲーターは、セラーが成長するためにやってきたすべてのことを、かなり早いスピードで成し遂げているからです。

 

ナレーター:

私たちは展示会場に赴き、アグリゲーター、セラー、そして元アマゾンの関係者にインタビューを行い、このトレンドの背景には何があるのか?なぜ今なのか、そしてこの流行は続くのか?等について伺いました。日中、ウェストゲートホテルには、何千人ものAmazonセラーが集まってきており、ひしめき合うAmazon市場で成功するためのプレゼンテーションにについて、耳を傾けていました。

 

ナレーター:

夜になると、アグリゲーターは限定的なアフターパーティを開きました。ある会社は、隠れ家バーの鍵を内密に渡すため、セラーのホテルのお部屋にシガーボックスを送り届けました。また、ロブスターやオイスター、キャビアをプレゼントする会社もありました。別の会社では、社員が会場を歩き回り、買収に繋がったセラーを紹介した人には、テスラのモデルYを無料で提供する、というチラシを配っていました。前回対面で行われた2019年のProsper Show時は、Amazonアグリゲーター市場はまだ初期段階にあったため、今年の様子はとても大きな変化でした。今年の参加者は2019年より10%増加し、セラシオ、ヘイデイ、パーチといった大手アグリゲーターは、出展スペースを購入していました。

 

ステイシー*(*スレイシー・レンフロ:mDesign社のCEO)

今、市場で起きていることは、実店舗からD2Cブランドへの移行ととてもよく似ています。つまり、消費者がどこにいるかということです。

 

ナレーター:

Amazonによると、同社のストアには、2020年に250億ドル以上の利益を生み出す200万人近くの中小規模セラーがおり、販売されている商品の半分以上を占めるそうです。また、サードパーティの売上は、自社のセラーとしての売上を上回るペースで成長しているそうなので、アグリゲーターの数が増加しているのも当然のことです。現在、アグリゲーション企業は、少なくとも十数カ国に69社あり、昨年4月以降、総額70億ドルの資金を調達しました。

メリッサ・バーディックは、Amazonで10年間勤務した後、eコマース用の広告ソフトウェア事業を立ち上げ、現在では一部のアグリゲーターにも採用されています。

 

メリッサ:

どうすれば成長サイクル(フライホイール)をできるだけ早く動かし、ブランドを成長させることができるかということです。課題は、60社のうち、どれだけ生き残れるかでしょうね。

 

クリス*(*クリス・ベル:パーチ社の創業者兼CEO)

小規模ブランドは、長い間シェアを獲得してきましたが、全体としても非常に大きな転換点を迎えているように思います。そして、P&Gやユニリーバなど、巨額の資金を持つ大企業が、これらの小規模起業家にシェアを奪われていることには驚かされます。

 

ナレーター:

アグリゲーターは、ベンチャーキャピタルにAmazon個人セラー業界へのきっかけを与えます。その代わり、セラーは現金を得ることが出来ますし、買収したブランドもより多くのリソースを利用できるようになります。これは、P&Gのような大手企業が中小企業を買収し、その資金力で商品陳列棚の好位置を獲得したり、テレビの広告枠を独占したりするという、昔からあるモデルに似ています。パーチとセラシオは、Amazonの2大アグリゲーターです。

 

クリス:

ある程度の規模があると、資本、技術、人材、異なる市場、異なるチャネルや地域へのアクセスが簡単になるのです。

 

ケーシー:

我々は、画像や製品パッケージに改善余地のあるブランドを買収し、品質を少しでも向上させることで、高いレビュー評価を得ることが出来ています。

 

ナレーター:

アグリゲーターは、元々のブランド名とロイヤルカスターを大切に守りながら、より大きなマーケティング力とデータ力を使って、顧客ベースと利益を拡大している傾向があります。

 

チャス*(*チャス・ウッドワード:ヘイデイ社の事業開発部長)

私たちは、ゼネラル・ミルズやジョンソン・エンド・ジョンソン、P&Gのような企業を目指しているわけではありません。私たちが所有するブランドは、ヘイデイの社名を付けて販売する必要はないと考えています。長い間、独自の地位を築いてきており、ロイヤルカスターによるリピート率も高いのです。これまで0から1にするという素晴らしい成長を遂げてきたため、ここからの私たちの仕事は1から5、10、あるいはそれ以上の数字にすることだと思っています。

 

ナレーター:

そのために、アグリゲーターは、何十、何百ものブランドを扱う複雑な作業を効率化するため、ソフトウェアを開発しています。

 

クリス:

起業家が成功への道を歩むためには、1時間ごとにリスティング広告を監視し、競合他社を常に観察することが重要です。これらのことは、テクノロジーで実現できます。多くの場合、個人起業家がこの技術を構築するには意味のないことだと思いますが、アグリゲーターの場合は違います。私たちは、この技術を使って何百ものブランドに展開することができるのです。

 

ナレーター:

Amazonは、CNBCへのインタビューの中で、流動性を必要としていたり、新しいビジネスを開始するために、現在所有しているブランドを売却したいと考えていたりするセラーにとっては、アグリゲーターはエキサイティングな機会であると述べています。

 

 ビジネスの売却後は、釣りをする機会が増え、妻と一緒にいる時間も増えました。(トランジッション動画)

 

ジェイソン*(*ジェイソン・ボイス:Avenue7Media社の創業者兼CEO、「Amazonジャングル」の著者)

アグリゲーターの中には、人材やAmazonの知識を買ってきて、仕事をしている企業もあります。逆に、引き留めているところもあります。本当に欲しい人材であれば、高額の小切手を渡し、「6ヶ月間は、ビーチでのんびりしてきてください」と勧誘する企業もあるようです。

 

ナレーター:

比較的小規模でも、大きな資金を調達している企業もあります。例えば、Acquco社は1億6,500万ドル以上の資金を調達し、買収セラーの紹介特典として1,000万ドル相当のテスラのギフトを約束しました。一方、セラシオやパーチはユニコーン企業(評価額10億ドル以上のスタートアップ)として認知されています。このような広告はとても新しい手法です。

 

クリス:

初めてパーチの資金調達を行っていたころは、多くの投資家が、Amazonチャネルのリスクを心配していたため、簡単ではありませんでした。代わりに、実際にブランドを買収するのではなく、ソフトウェア・ソリューションを作れと、投資家たちから言われていました。

 

ナレーター:

ウェイフェアの元幹部、クリス・ベルがパーチを設立したのは、2019年のことです。現在は9億ドルを調達し、70以上のブランドを傘下に収めています。なぜ、今になってこのトレンドが来たのでしょう?

 

クリス:

Amazonのマーケットプレイスが成熟してきたことと、信頼性を高めるために周辺を強化したことが重なったのだと思います。そしてパンデミックをきっかけに、多くの人々がアグリゲーションの可能性に気づき、追い求めた結果だと思います。

 

ナレーター:2018年に設立されたセラシオは、パーチよりも早い段階でこの業界のリーダーとなりました。2021年までに、CNBCはセラシオをディスラプター50(業界破壊企業)の22位にランク付けし、現在17億5000万ドルを調達しています。

 

ジェイソン:新しいアセットクラス(資産クラス)で、10億ドルのユニコーン企業が生まれると、その市場には必ず新規企業が殺到します。

 

ケーシー:今でも私は、Amazonのエコシステムがセラー側でどのように機能するかについて、多くの成長と変化があると考えています。

 

ナレーター:ケーシー・ガウスは、セラシオの126人目の社員として、2020年4月に入社しました。今では米国内だけで少なくとも930人の社員を抱えています。

 

ケーシー: 買収するブランドには、セラシオの様にSEOからコピーライティング、クリエイティブ等のあらゆる分野を担当する専門家がいないのです。そのため、当社にてすべてのブランドをチェックリストで確認し、一般的なセラーよりもはるかに優れた最適化を行うことを可能にしています。

 

ナレーター:セラシオ社は、買収した各ブランドを503項目の移行プロセスに通し、より良いキーワード、画像、インフルエンサーマーケティングなどのニーズを把握します。成功例のひとつは、Angry Orangeと名付けられたペット用の消臭剤です。

 

ケーシー:  Angry Orangeのブランディングを一新することができました。ラッパーのスヌープ・ドッグにカメオ出演してもらったのですが、このブランドは完全に成功しました。

Angry Orangeは、Amazonで最も成長しているペット用品です。(前述のCMを抜粋)

 

ナレーター:2018年にセラシオがAngry Orangeを140万ドルで買収したとき、当時4年目のブランドの年間収益は、200万ドルを超える程度でした。セラシオ社によると、現在は8倍の1650万ドルになっているそうです。ちなみに、セラシオ社は、現在125のブランドを買収しています。

 

メリッサ:               120球のすべてがホームランという訳にはいかないですし、彼らもそれは理解しているのです。つまり、120のブランドのうち、80%でも60%でも成功すれば構わないということです。まさに数字のゲームのようなものです。

 

ナレーター:アグリゲーターのもう一つの戦略は、買収するブランド数を少なくすることです。ヘイデイが買収したブランドは16社のみで、セラシオの125社やパーチの70社に比べてもはるかに少ないのです。 ヘイデイは2億5000万ドル以上の資金を調達しています。

 

チャス: レビュー数が多いからといって、必ずしも長く愛されるとは限らないと考えています。

ナレーター:投資銀行を経てヘイデイに入社したチャス・ウッドワードによると、買収したセラーの収益は1社あたり100万ドルを超えるといいます。ただし、今後10倍以上に成長する可能性も秘めているのです。

 

チャス:当社は100個のブランドを買収しようとしているのではありません。代わりに、自社ブランドを10倍にすることを求めているのです。魅力的な数値は、見分け、引き受け、買収する能力があることを示してくれますし、既存ブランドの成長と改善を真に推進することが出来ると思っています。

 

ステイシー: 買収したブランドを、時間をかけて本当に成長させるだけの見る目と専門知識を持っているのでしょうか?それとも、失敗に終わるのでしょうか?

 

ナレーター: ステイシー・レンフロのように、さらに小さい規模でビジネスをするセラーもいます。彼女のブランドmDesignは、昨年、主にアマゾンで2億5000万ドル以上の売り上げを記録しました。また、最近では、Wild Birds of Joyを初セラーとして買収しました。

 

ステイシー: 当社はプラスチックや瓶を多く扱っておりますが、買収した企業は、主に鳥やハチドリの餌などを販売しています。当社にとって、アウトドア分野で品揃えを増やすことに繋がった、素晴らしい買収でした。

 

ナレーター:ステイシーは、mDesignが大規模アグリゲーターにとって、買収ターゲットでもあると言っています。

 

ステイシー:この業界では多くのことが起こっているので、週に1度他のアグリゲーターからの問い合わせがあるとお伝えすることは、とても謙虚な言い方かもしれません。

 

ナレーター:大きな買収数を狙うアグリゲーターであっても、Amazonでの販売は容易ではないことを理解しています。

 

クリス: 1,000個、10,000個、100,000個と、本当によくできたものを作るための技術、プロセス、人材を確保することは、大変で難しいことです。セラーの皆さんがご存知のように、これは簡単なビジネスではありません。

 

ナレーター:また、常にAmazonがルールや料金設定、プロトコルを変更していることも、セラーとしては難しいことです。アグリゲーターは、そこもナビゲートしてくれるといいます。

 

ケーシー:買収されるブランドの多くは、起業家が一人で運営しているケースがほとんどです。Amazonでの販売には多くの要素が含まれているため、Amazon市場が成長を続け、競争が激化するにつれ、セラーとして生き残り、成功するためには、やらなければならないことが非常に多くなり、とても難しくなっています。

 

チャス:Amazonは巨大企業ですから、私たちと常に連絡を取り合っているというと大げさかもしれません。しかし、規模が拡大され、プラットフォーム上でより多くのビジネスを行うようになれば、Amazonは我々にも寄り添い、快適な環境となっていくと思います。

 

ナレーター:Amazonはマーチャントに対して、販売ごとに8%〜15%の手数料を請求しています。さらにパンデミックの間には、その他の料金設定も大幅に上昇されました。6月には、FBAの手数料が平均4.4%上昇し、PPC広告の売上は前年比50%増となっています。資金力のあるアグリゲーターや個人セラーの台頭により、Amazonでのビジネスコストはさらに上昇すると思われます。

 

ジェイソン:もし長年Amazonで販売してきており、年収100万ドルを達成していて、長い間本当に頑張ってきたのなら、今は本当の意味でのイグジットの機会となるでしょう。そういった意味では良いことだと思います。セラーとしてのもう一つの懸念は、1億ドル以上の資金を調達したアグリゲーターが40社近く存在するため、Amazonのコストはさらに上昇することになる、ということです。

 

ナレーター:AmazonがCNBCに語ったところによると、昨年、セラーの成長を支援するために、180億ドル以上を費やしたとのことです。この費用は、物流、プログラム、人材、そしてセラー向けの225の新しいツールやサービスなどに使われました。

 

ステイシー:大企業であるAmazonを悪者扱いし、誰もが否定的なことを言いたがりますが、Amazonの良いところは、小規模なサードパーティセラーを受け入れていることでしょう。さらに、小規模セラーのボリュームは増え続けているのです。

 

ナレーター:アグリゲーター・ブームが続くかどうかについて、AmazonはCNBCに対し、「大多数のセラーやブランドは独立した立場を維持し、当社のストアを使い続けるだろうと予想しています」と述べています。しかし、今のところ、このトレンドが続くことで、世界最大のEコマースサイトで販売することの意味が変わりつつあります。

 

ジェイソン:セラシオが今年中に上場するという噂もあるように、アグリゲーターと呼ばれる一握りの上場企業が出てくると思います。アグリゲーターは、優秀なセラーやブランドを買い集めることで生まれました。

 

メリッサ:ここはまだ新しい市場なので、ベンチャーキャピタルが継続して誘致するかどうかは、成果次第となるでしょう。

 

クリス: 私たちは、数十億ドルの収益を上げる企業となり、たくさんの人に信頼される有名ブランドをたくさん保有し、多くの人に買いたいと思われる上場企業になれると思います。それは、オンラインだけではなく、Amazonだけでもなく、すべてのチャネルを通じて出来ると信じています。

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