コロナ禍の影響もあり、Amazonは急速に拡大しており、商品の種類だけでなく、販売店や顧客数も急激に増えています。並行して、商品を販売できる国は常に拡大しています。
拡大を続ける物流ネットワークと国際的な顧客基盤を持つAmazonは、各国のローカル出品者にとってのグローバル展開の障壁を大幅に減らし、今まで以上に海外進出を簡単にしています。
しかしながら、グローバルであは避けては通れない、輸入手続き、税法、製品規制、海外の法的環境等といった面倒なオペレーションは、まだ存在しています。
メリット | 課題 |
ローカルブランド構築のコストを大幅に削減可 | 追加要件:品質保証、製品規制、言語 |
FBAによる容易な国際配送とカスタマーサービス | 輸入・関税・税金・国際配送にかかる追加費用 |
より多くの顧客層へのアクセス | 他国における需要把握の必要性 |
グローバル展開することで、顧客を大幅に増やすことができます。特に、すでにローカルマーケットプレイスで成功している企業とっては、次のステップとしてグローバル展開は最適でしょう。
AmazonのFBAは、配送とカスタマーサービスを代行することで、プロセスを簡単にしています。また、信頼構築に多くの労力を費やすことなく、迅速に市場に参入することができます。アマゾンは、グローバル展開への道を切り開いてくれます。
しかし、たとえAmazonに背中を押されていたとしても、グローバル展開はすべてがバラ色ではありません。まず、国際的な顧客層の好み、人口統計、所得レベル等を理解する必要があります。ポテンシャルの高いことがわかったら、グローバルに販売するためのプロセスを構築する必要があります。
現地の税関手続き、関税、税金などを把握し、追加コストの計算、ローカル店舗との競争力を維持するための価格モデルを考え出すことが次のハードルです。さらに、製品の仕様や品質保証に関する現地の規制を念頭に置いておく必要があります。
新マーケットで商品販売を始める前に、成長戦略を立てる必要があります。最初に、下記の点について自問自答してみましょう。
これらの質問に回答し、現地で製品の需要があることを確認したら、成長戦略を開始しましょう。以下にさまざまなAmazonマーケットプレイス(日本、米国、オーストラリア、ヨーロッパ)の比較をまとめています。
次のターゲット市場を特定した後の、さまざまなマーケティングモデルを紹介します。まず、Lauterbornの4Csモデル(基本的には4Pモデルのアップデート版)があります。
THE 4 CS | 自分への質問 | アクション |
コミュニケーション | 新しいマーケット市場でどのように商品を販売していくのか? | Amazonが提供するマーケットプレイスに特化したプロモーションツールの選択。もしくは、スポンサープロダクト広告への投資を検討。 |
購買時の利便性 | 顧客が最適な経験をするために必要なことは? | カスタマーサービス、商品リスト、返品などを考慮。 |
顧客満足へのコスト | 新しいマーケットプレイスで販売するためのコストは? | 以下を考慮する:送料(顧客へダイレクト配送、またはFBAフルフィルメントセンターへ配送)、返品、カスタマーサポート/FBA、為替手数料、ローカル税、関税、弁護士費用、証明書、銀行手数料 |
消費者の欲求とニーズ | 新マーケットの人々は何を求めていて、どのようにしてその需要を満たすことができるのか? | 新しいAmazonマーケットプレイスの下調べをして、商品カテゴリーのベストセラー、新着商品、注目のブランドセレクションを確認。 |
Amazonのグローバル販売ガイドによると、国境を越えて販売開始をするには6つのステップがあります。
現実はなかなか複雑ですので、それぞれのステップを、もう少し詳しくみてみましょう。
新しいマーケットに進出したい場合は、それぞれの国で新しいAmazonセラーアカウントを作成する必要があります。つまり、アカウントごとに下記の月額費支払も発生します。
ただし、北米統一アカウントとヨーロッパ統一アカウントは特例です。これらの地域では、参加国のいずれかで1つのセラーアカウントを作成するだけで、その地域に含まれる他のマーケットプレイスへのアクセスが自動的に得られ、追加費用はかかりません。
例えば、ドイツにセラーアカウントを持っていれば、自動的にイギリス、イタリア、フランス、スペインへのアクセスが可能になります。同様に、米国のセラーアカウントの月額料金を支払えば、自動的にカナダとメキシコへのアクセス権が得られます。しかし、製品販売ごとに各アイテムの手数料(紹介料)を支払う必要があります。これらは、マーケットプレイスやカテゴリーに応じて異なります。
新しいマーケットプレイスへの会員登録は、自国のマーケットプレイスに登録する際とほぼ一緒です。ここでは、通常必要とされるものをチェックしてみましょう。
セラーセントラルのアカウントで、メニューバーから「在庫」を選択し、「グローバルセリング」をクリックします。そこには、リンクできるすべての地域のタブが表示されます。対象のマーケットプレイスを選択し、その国のマーケットプレイスに出品者として登録するか、すでにアカウントを作成している場合は、それをセラーセントラルにリンクすることができます。
セラーセントラルのインターフェースから、すべてのマーケットプレイスを管理できるようになりました。国を切り替えたい場合は、ページ右上のドロップダウンメニューから行うことができます。
リスティングのレパートリーを増やすことは、グローバルマーケットでも自国マーケットでも同様です。以下の情報が必要となります。
製品リストは、マーケットプレイスをまたいで一括作成することはできません。販売者として、各国のマーケットプレイスにASINを登録し、現地の言語で上記の詳細を追加する必要があります。
言語の必要条件に関しては、良い点と悪い点があります。良い点としては、母国語でセラーセントラルの管理が可能ということです。トップメニューで言語を選択することができます。
悪い点は、販売しているマーケットでの言語で、すべての製品リストとカスタマーサービスを提供しなければならないということです。
それには、下記の様な理由があります。
オンライン翻訳では、適切に訳されない可能性が高いことを理解しておくことも大切です。ターゲット市場の現地語に堪能でない場合は、次のような選択肢があります。
海外マーケット向けの商品リストは、現地語で提供する必要があるため、ライティング経験を持つ現地スタッフに依頼します。また、AmazonのSEO対策も現地語で対応する必要があることを覚えておきましょう。
コンテンツの最適化とランキングの向上は、商品表示の可能性が高まることにつながり、売上を期待することができます。どこのマーケットであろうと、AmazonのSEOは必要不可欠です。
ピカロでは、製品リスト(国内および海外)を最適化し、より多くの認知度を得るために必要なデータ、インサイト、提案をしています。
必要なキーワードをすべて調べ、画像を最適化したら、商品リスト作成に入ります。
海外マーケットで販売したい商品リストが少ない場合は、セラーセントラルから手動で作成することができます。ページ上部のドロップダウンメニューから該当するマーケットプレイスを選択した後は、通常通り在庫ファイルをアップロードするだけで製品を追加できます。多種多様な商品をグローバル販売したい場合は、EOIツールを使用すると、より迅速にアップロードすることが可能です。
EOIツールを使用すると、在庫ローダーのフィードファイルから、他国のマーケットプレイスで既に存在している商品を別のマーケットプレイスに追加することができます。ファイルを作成するには、以下の情報を提供する必要があります。
しかし、EOIが機能するためには、製品の詳細ページ(製品リスト)がターゲット市場ですでに存在している必要があります。
EOIを使用することで、各マーケットプレイスでの商品のリスティングと価格設定を行うことができます。それは、最新のリスティングレポートをダウンロードし、Excel内で編集(SKUの追加/削除)、価格決定を行い、在庫 Loaderファイルを再アップロードする必要があります。作業効率化のため、マーケットプレイス間でオファーを同期させ、ターゲット市場での価格を自動的に更新したい場合は、Building International Listings (BIL)を選択することができます。
Amazonでは、グローバルセラーが海外マーケットプレイスをまたいでオファーを管理できるように、BIL(Building International Listings)機能を提供しています。ホームSKUとターゲットSKUをリンクすることで、BIL機能は、個々の設定に基づいてターゲットマーケットプレイスの価格を自動的に更新します。BILが動作するためには、製品のASINと詳細ページの両方が存在する必要があります。
以下の条件を満たしていれば、BILを活用することが可能です。
BILでできることは以下の通りです。
しかし、注意しなければならないこともあります。
グローバルマーケットに商品を出品すると、画像と、自国におけるカスタマーレビューがシェアされます。(詳細はアマゾングローバルASINとはhttps://picaro.co.jp/column/2153をご参照ください)
しかしながら、これらのカスタマーレビューは、自国の言語であり、例えば日本で取得したレビューは、アメリカでも日本語で表示されます。したがって、初めて海外進出をした企業の最初のマーケティング活動は、製品を買ってもらい、現地の言語でレビューを残してもらうことに焦点を当てるべきでだと考えます。そしてこれには3つの方法があります。
スポンサード広告といったPPCキャンペーンを使用して製品の閲覧数を急激に伸ばす前に、少なくとも5つのレビューを取得された方が良いかと思います。レビューがない、または非常に少ない海外の製品は信用さずに購入されないことが非常によくあります。
スポンサード広告PPCキャンペーンについては、海外でも自国のマーケットでも全く同じです。Amazonでは、各マーケットプレイスの平均CPC値の概要を提供しており、各地域の競争力の高さを知ることができるため、そこからPPC戦略とマーケティング予算をどのように使うかを決めることができます。
Amazonでは、最初の売上を得るため、マーケットプレイスごとに特化したプロモーションツールを提供しています。例えば、無料配送、マネーオフプロモーション、1クリック購入、Amazonポイント(同じマーケットプレイス上で、他の商品を購入する際に交換可能なポイント)があります。
在庫管理では、SKU番号を使用して製品を差別化し、在庫量を計算しています。SKUがどのような構成で整理されているかは、出荷方法や販売地域によって異なります。
グローバルSKUは、ヨーロッパと北米内の統一アカウントで使用することができ、マーケットプレイス間で共有された在庫状況を意味します。グローバルSKUは、Amazon FBAの配送方法では使用できません。
グローバルSKU管理を選択すると、在庫はすべてのマーケットプレイス(統一アカウント内)で利用可能な在庫を表示します。例えば、北米統一アカウントのセラーセントラルの在庫管理タブで、300点の在庫があることが表示されたとします。これは、 アメリカで300点、カナダで300点、メキシコで300点の計900点ではなく、その地域全体で在庫が300点ということです。つまり、メキシコでアイテムを1点販売したら、その地域全体の合計が299個に減るということになります。
ヨーロッパや北米マーケットで注文を行う際には、グローバルSKUを選ぶ必要があります(それぞれのターゲット市場で倉庫を運営することはありません)。
各国ごとのSKUを使用して、海外のマーケットプレイスの在庫を管理しています。各国ごとのSKUのSKUが必要なケースは2つあります。
注文を履行している場合は、マーケットプレイス専用のSKUを選択することができます。これは、ターゲット国で自身の倉庫を運営していて、それぞれの場所でどれだけの在庫があるかを詳細に把握する必要がある場合には、良い選択肢かもしれません。ターゲット国で在庫を保管している場合は、税務上のステータスが変更される可能性があることを覚えておいてください。より詳細な情報については、御社の税理士にご確認ください。
国際配送については、ご自身で手配する(FBM)、またはAmazonのFBAネットワークを利用することができます。
FBMを利用して配送すると、通常は大規模なバルクよりも、単品の出荷コストの方が高くなるため、高い取引コストが発生します。しかし、通関手続きと出荷時間が短縮されるため、FBMを利用することで、新しい市場に製品を迅速に届けることができます。
通常、どの国でも免税限度額(価値のしきい値)が決められており、それによって税関での手続きや支払義務のある輸入税の額が決まります。商品の価値がこのしきい値以下であれば、長い税関手続きを短縮することが出来ます。特に最初のうちは、テスト期間でもあり、このしきい値以下の価値で販売する場合は、FBMを選んで出荷することに意味があります。
それに比べて、FBA経由で商品を出荷することは、取引コスト削減は可能ですが、より多くの時間を必要とします。税関のプロセスを通過し、必要なすべての規制を遵守しなければなりません。その結果、ビジネスをスケールアップさせたい場合には、FBAが最適なソリューションとなるかもしれません(もちろん、製品の価値が免税限度額を超えている場合も該当します)。
注文を自身で手配する際には、以下の点に注意しましょう。
下記では、FBMについて紹介します。
海外の顧客からの返品処理には、以下3つのオプションがあります。
手間と労力がかかると判断した場合は、FBAを選びましょう。
FBAの仕組みをご紹介します。
在庫が保管されている地域と、Amazonがどのような注文を履行しているかによって、地域ごとに異なるFBAオプションがあります。国や地域別のFBAオプションは、ダウンロード可能なグローバル販売ガイドで説明されています。
新しいマーケットのAmazon FBA倉庫に製品を出荷する際には、小包であればFedEX、UPS、DHLのような宅配会社、大きな出荷は経験豊富な貨物運送業者を利用しましょう。
税関の手続きについては必ず業者に依頼し、商品が税関に引っかからないように、輸入税や関税がすべて網羅されているかどうかを確認しておくようにしましょう。
各国には、商品輸入に対し、税関や関税管理の独自ルールが存在します(販売ガイドに詳細情報が記載されています)。
どこに製品を送るにしても、現地の法律や規制に準拠していることを常に確認する必要があります。
一般的に、ある国に商品を輸入する際には、以下のことが必要となります(FBMやFBAを利用していたとしても同じです)。
必要な情報をすべて正確に提出することが重要なため、通関業者や代理店を雇うことを強くお勧めします。
海外販売時の支払いを受け取るには、3つの方法があります。
Amazon’s Currency Converter for Sellers (ACCS)を利用すると、海外の売上分を自国通貨の銀行口座で受け取ることが可能となります。Amazonは、多くの国の通貨換算を処理するために、サードパーティのプロバイダーであるPayoneer(主に米国とヨーロッパ)やHyperwalletを使用しています。サービスを利用するためには、アカウントを作成する必要があります。
Amazonの手数料は、換金のたびに支払う必要がある換金率(約4%~日割りで決定)に含まれています。
税関や関税と同様に、消費税についても国ごとに異なる規制があります。ほとんどの国では、販売者の収益が一定の値を超えると消費税の課税が開始されます。また、Amazonのフルフィルメントセンターでの保管を含め、輸入者が国内で在庫を保管するとすぐに消費税が適用されるのが一般的です。
海外の出品者には、下記の具体的なケースが関連してきます。
ビジネス拡大を目指している国の税務専門家にアドバイスを求めてください。例えば、VAT規制を遵守していないことが判明した場合、EUが支払い遅延代として請求する費用に比べれば、わずかな費用で済むはずです。