従来のメディア予算、オンライン予算は広告主のマーケティング部門によって扱われる。しかし、購買客マーケティングはトレード部門で扱われる。特に消費財ビジネスにおいては、リテーラーと直接取り引きをするためにその傾向が強い。広告主におけるこの構造が一因となって、これまでは購買客マーケティング予算はAmazonとGoogleの手が届かないところで使われていた。しかしオンラインでのセールスが増えることで、この予算をどのように使うべきか、広告主たちは再検討し始めているのだ。
「メディア在庫を販売時点まで近づけたことに、Amazonのマジックがある。広告主たちは、Amazonを従来の意味でのマーケティング費用とは捉えていない。Amazonはむしろ利益を生むセンターとなっている。限界収穫逓減の範囲内で、彼らはAmazon上での支出を最大限に増やしたいと思っている」と、アイクロッシング(iCrossing)のマネージングディレクターであるアリステール・デント氏は言う。
「Amazon検索とGoogle検索は、ブランドたちにとっては、ふたつの異なるマーケティングプログラムとなっている」と、北米ワンダーマン・トンプソン・コマース(Wunderman Thompson Commerce)のプレジデントであるフランク・コチェナッシュ氏は言う。消費と直接やり取りができるD2Cウェブサイトがないブランドにとって、Google検索はリーチと頻度を達成するためのブランドマーケティング手法だと、コチェナッシュ氏は言う。しかし、同じブランドであっても、Amazonは売上を伸ばすためのパフォーマンスマーケティングのチャンネルとなっている。しかも、その投資対効果は、ほかの売上向上のためのアクティビティと比べても効率性が高い。
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この記事の内容は当社の中でかなりホットトピックスになっている内容です。
ベンダーセントラルの権限を持たれている方ががいらっしゃいましたら、Amazonのベンダーセントラルとセラーセントラルを比較してみると面白いかもしれません。デザインが異なる事や、ベンダーセントラル側の機能の多さに意識が行って見落としがちになるのですが、セラーセントラルとは異なり、ベンダーセントラル上では「集客強化」「販売促進」という2つのタブが存在していて、前者の「集客強化」には「スポンサープロダクト」「スポンサーブランド」「商品ディスプレイ広告」の3つの集客強化施策が入っています。一方、「販売促進」のタブにプルオーバーすると、「おススメの販売促進」「クーポン」「プロモーション」「VINE」「A+」「法人価格の割引」「共同マーケティング」と7個の販促強化があり、Amazonのvendor ビジネスモデル(仕入ビジネスモデル)では、社内ではこの切り分けが明確になっていて、集客強化はAd、販売促進はCoop(Co-operation Marketing)と社内での予算の計上方法も異なっており、年間目標を設定する際も、AdとCoopは別の数字として進捗と効果の管理がされています。イメージとしては、バナー広告のようにインプレッションを高めることをKPIとし、ブランディング強化をしていくようなものがAd。同時購入割引やキャンペーンやA+といったCVRを高めるためのアクションをCoopという感じでしょうか。
(市場がUSだからということもあると思いますが)少しこの記事に誤まりがあるのは、元々Amazonはメーカーからは多くの販売店の中の一つとして認識されていたこともあり、Amazon Marketing ServiceができるまではCoop(販促費)としてのご予算のみがメーカーの営業部から割り振りされており、マーケティング費(広告宣伝費)の予算が割かれることは一切ありませんでしたという点ですかね。 もちろん交渉は毎日行われていましたが、メーカーとしては全体のマーケティングのために割り当てられる費用が、一販売店であるアマゾンのみにあてがわれることで、他販売店から「なぜamazonだけなのだ?」という反対意見が出ることがほとんど。まれに、広告代理店の方々からは「アマゾンの凄いところは、広告費用だけではなく、それよりも市場規模が大きいメーカーの販促費用も抑えられることができる部分」だということを頻繁に聞きますが、昔のアマゾンからすると、販促費はいただけるのですが、マーケティング費にはリーチできない。Googleへのバナー広告などはマーケティング費なのに、amazonでのバナー広告にはマーケティング費用が出ないといったようなジレンマがありました。
そして、そこに対して現在話題となっているのが「検索キーワード連動型のスポンサープロダクト」。
このプログラムの立ち位置は面白いですね。
まずこれを管轄しているのはアマゾンのマーケティングチームなので、集客強化=インプレッション強化。そしてスポンサープロダクトはGoogleで言うところの検索キーワード連動型広告なので、マーケティング費でとして認識できる。しかしながら、メーカーとしてはアマゾンは販売店なので、この予算は販促費として出すべきだという議論がある。更に、このプログラムは直接的に購買に繋がる(直接的に売上に繋がったことが数字で取れる)からことからも販促費(つまりCVRで評価される)。
スポンサープロダクトの人気が高まるにつれて、メーカーとしては今までは営業部が販促費をAmazon全体に投資していたものの、スポンサープロダクトの方が直接的に販売に繋がっていることが見やすいので、スポンサードプロダクトもやりたいが、スポンサードプロダクトは広告宣伝の一環なのでマーケの範疇でもあり、簡単に移行はできないという結構組織や政治がからまった内容。。。このアマゾンのスポンサープロダクトに対しての各メーカーのスタンスと、メーカー内のアマゾン担当がどの部門の管轄になっているかを聞くだけで、そのメーカーがどのようにアマゾンを見ているのかが良くわかるので、面白いなぁと思いながら、メーカーの方々のお話を聞かせていただいております。
上記に対して当社の考え方については、機会があれば別途こまかなコラムを書かせていただきますが、当社でも多数のメーカー並びに出品者の方々から、このスポンサープロダクトの運用方法や効果などについてのお問合せを受けております。
もちろん、これらのスポンサードプロダクトやスポンサードブランドの広告商品を使ってACoSに注意しつつ瞬間風速的に売上を上げることも大切ですし、それは可能かと思います。一方、2018年10月頃に行われたアマゾンの検索アルゴリズムの内容を見てわかるように、現在のアマゾンはアマゾン上での広告や販促といったアクションもそうですが、アマゾン外部からの流入数や、長期にわたって販売が継続されているかという点も評価に入れるようになっています。
つまり、Amazon上で正のスパイラルを構築し(fundamentalを構築し)、適切にブランディングをし、長期的にAmazon上で売上を上げるためには、スポンサープロダクトもしくはスポンサーブランドだけというのでは十分ではなく、まずはマスターデータとなる、カタログの質、画像の質、各ブレットポイントやA+の内容などを適切に構築した上で、CVRを高めるような施策(キャンペーンなど)を実施しつつ、その土壌に対してAmazon上でスポンサードプロダクトなどの広告を展開して集客しつつ、更にAmazon外部からTrafficを集めるためのアクションを実行していくという、当たり前であり、fundamentalの作業とアクションが非常に重要であり、それは日本でもアメリカでも一緒ですということをお話させていただいております。
もしこの辺りの詳細に興味がある方がいらっしゃいましたらお声がけいただければ嬉しく思います。